〈荒木村重〉「戦国一の卑怯者」は本当か
「卑怯者」像の三本柱——(1)主君への裏切り (2)妻子を見捨てた逃亡 (3)自分だけ天寿——のうち、(2)は戦略的移動説の有力化で、(3)は「道糞」俗説の判明で崩れつつある。一方、謀反が一族600人超の死を招いた結果責任は動かず、フロイスも太田牛一も冷ややかに記録した。「凡庸な裏切り者」でも「悲劇の智将」でもなく、摂津国衆と織田権力の狭間で決断し敗れた地域権力者——それが2020年代の研究水準である。
「卑怯者」像の三本柱——(1)主君への裏切り (2)妻子を見捨てた逃亡 (3)自分だけ天寿——のうち、(2)は戦略的移動説の有力化で、(3)は「道糞」俗説の判明で崩れつつある。一方、謀反が一族600人超の死を招いた結果責任は動かず、フロイスも太田牛一も冷ややかに記録した。「凡庸な裏切り者」でも「悲劇の智将」でもなく、摂津国衆と織田権力の狭間で決断し敗れた地域権力者——それが2020年代の研究水準である。